光輪君と悪斬ちゃん 第一話
2011年6月27日 光輪君と悪斬ちゃん コメント (6)《迷いし者の番人/Shepherd of the Lost(ZEN)》はゼンディカー高校の優等生だった。飛行、先制攻撃、警戒といった優秀な能力でリミテッドでの活躍は評価に値するもので、構築組には入れなくともプロモカード化もされ、慎ましくも華のある幸せな毎日だった。
不幸な事といえば、今日“彼”に遭遇してしまったことだろうか。
「雑魚いな、所詮アンコモンか」
今しがた手に入れた新しい光輪を眺めながら去っていく彼の背中を訝しげに眺めながら迷いし者の番人は力なくその場に倒れた。
天使達が恐れるゼンディカー高校の問題視。《光輪狩り/Halo Hunter(ZEN)》である。
パワー6の攻撃力をちらつかせながらの威嚇は昼休みに賑わう廊下を何の不便も無く通るには充分だった。
人通りの少ない校舎外れのベンチに腰掛け、先ほど手に入れた新たな光輪を見ていると自然と口元がにやりと歪んだ。ここで昼食をとり、昼寝をしたり光輪を眺めたりして放課後まで時間を潰すのが日課だった。
彼の趣味は天使の光輪を集めることだった。自分にない美しさをもっていたから、ただ単に白く光る光輪がきれいだったから、自分の力を試したかったから、相手が白いから。今となっては何が本当の理由かわからない。いつの間にか光輪を集めることそのものが彼の生きがいになっていた。
放課後まで昼寝をしようと微睡んでいた彼の眠りを妨げたのは聞き覚えのある騒がしい羽音と甲高い声だった。
「あんたまた天使の光輪盗ったでしょ!!返しなさいよ!!」
取り巻きの騒がしい鳥達を従えた天使。《エメリアの天使/Emeria Angel(ZEN)》だ。今日もパンツが青い。
「盗ったんじゃない。狩ったんだ」
「どっちも同じじゃない!」
「狩られる程弱い方が悪いんだよ。ついでにお前も狩ってやろうか?」
「調子乗んな!」「お前にチャンプブロッカーの生き様見せたる!」「1/1飛行ナメんなよ!」
騒ぎ立てる取り巻きの鳥達を威嚇で黙らせる。
「俺がお前ら如きにブロックされるとでも思ってんのかよ。いいぜ、見せてやるよ。『光輪狩り』を」
エメリアの天使を庇おうとする鳥達を威嚇でいなし、一気に距離を詰める。間合いに入った瞬間力を込めて跳躍、エメリアの天使を視界に捉えつつ鳥達の羽が散らばる大地に着地する。
「―CIPがっ」一羽の鳥がそう言った時には既に手遅れだった。エメリアの天使目がけて光輪刈りから邪悪な力が放たれる。瞳に悲しみの表情を浮かべたエメリアの天使の喉元へ邪悪な力が届きそうになる刹那―別の方向から突如現れた光がエメリアの天使包みこみ、次の瞬間光輪狩りの能力はエメリアの天使を逸れ、標的を失った能力は狂ったように床を跳ね回り消滅した。
「大丈夫か!?」
突如標的を見失った能力、聞き覚えのある声、数秒前と比べて増えている鳥達。それらの要素で光輪狩りは誰の仕業かを理解した。
「これは《セジーリのステップ/Sejiri Steppe(WWK)》…《聖遺の騎士/Knight of the Reliquary(CON)》か」
言うが早いか、立ちすくむエメリアの天使の下へ一人の騎士が駆け寄った。
隣のアラーラ高校からの転校生。ゼンディカー高校に転入し、土地を操る能力でのし上がった実力派である。
「颯爽登場で王子様気取りかシンデレラボーイ!
」
「これ以上エメリアの天使を傷つけるというのなら…この僕が相手だ」
後ろを振り返り聖遺の騎士が剣を向ける。様子から察するにまだセジーリのステップを隠し持っているらしい。墓地に土地が落ちれば後々厄介になる。先程の上陸で鳥も増えている。正直分が悪い。
「仕方ねえ…ここは譲ってやる。じゃあな」
そう言って光輪はその場を後にした。力の抜けたエメリアの天使の「待ちなさい」という声は聞こえないふりをした。
「大丈夫?」聖遺の問いかけにエメリアの天使はこくんと頷いた。
「酷いなあいつ…天使を何だと思ってんだ。許せない」
「ありがとう。でも結局光輪は取り返せなかったな…あのバカ…」
その表情を見て、エメリアの天使の肩に手をかけようとした聖遺がそっと手を引くのを周りの鳥達は見て見ぬふりをした。
~~~
ゼンディカー高校を抜け出し、スタンダード街へ繰り出す。騒がしいエメリアの天使の光輪を取り損ねた光輪は、不完全燃焼になった猛りを治めるべく新たな獲物を探していた。
気の向くままに歩きまわり、日頃ぶらぶらしているストレージ通りを抜け、ショーケースモール方面へと足を運んだ。光輪でも迂闊に手が出せない『構築クラス』の連中が屯するショーケースモールだが、光輪を狩りそびれ治まらない血が猛者の世界へと向かわせた。
曲がり角を抜けると一際高級な場所へ出た。そこにいた白い羽と長い髪の毛のに一瞬で目を奪われた。
天使だった。
それが天使と気付くやいなや、光輪は彼女へ襲いかかっていた。力一杯飛び上がり、彼女目がけて能力を発動し―
勢い良く着地したが何も起こらない。
何が起こったのか確認するよりも早く鋭い一撃が光輪狩りの胸を突いた。
―先制攻撃!?
能力を発動した勢いが手伝って豪快に地面に倒れこむ。
外見と直感で彼女が天使だということはわかった。では何故能力が発動しないのか。
薄れ行く意識の中彼女が口を開いた。
「ごめんなさい。私『プロテクション(デーモン)』なの」
続く
第一話「光輪君と悪斬ちゃん」
原案…WARAXIS
制作…ワープワールド教団、光輪君と悪斬ちゃん製作委員会
推敲も校正もしてないから誤字脱字は許してちょ
不幸な事といえば、今日“彼”に遭遇してしまったことだろうか。
「雑魚いな、所詮アンコモンか」
今しがた手に入れた新しい光輪を眺めながら去っていく彼の背中を訝しげに眺めながら迷いし者の番人は力なくその場に倒れた。
天使達が恐れるゼンディカー高校の問題視。《光輪狩り/Halo Hunter(ZEN)》である。
パワー6の攻撃力をちらつかせながらの威嚇は昼休みに賑わう廊下を何の不便も無く通るには充分だった。
人通りの少ない校舎外れのベンチに腰掛け、先ほど手に入れた新たな光輪を見ていると自然と口元がにやりと歪んだ。ここで昼食をとり、昼寝をしたり光輪を眺めたりして放課後まで時間を潰すのが日課だった。
彼の趣味は天使の光輪を集めることだった。自分にない美しさをもっていたから、ただ単に白く光る光輪がきれいだったから、自分の力を試したかったから、相手が白いから。今となっては何が本当の理由かわからない。いつの間にか光輪を集めることそのものが彼の生きがいになっていた。
放課後まで昼寝をしようと微睡んでいた彼の眠りを妨げたのは聞き覚えのある騒がしい羽音と甲高い声だった。
「あんたまた天使の光輪盗ったでしょ!!返しなさいよ!!」
取り巻きの騒がしい鳥達を従えた天使。《エメリアの天使/Emeria Angel(ZEN)》だ。今日もパンツが青い。
「盗ったんじゃない。狩ったんだ」
「どっちも同じじゃない!」
「狩られる程弱い方が悪いんだよ。ついでにお前も狩ってやろうか?」
「調子乗んな!」「お前にチャンプブロッカーの生き様見せたる!」「1/1飛行ナメんなよ!」
騒ぎ立てる取り巻きの鳥達を威嚇で黙らせる。
「俺がお前ら如きにブロックされるとでも思ってんのかよ。いいぜ、見せてやるよ。『光輪狩り』を」
エメリアの天使を庇おうとする鳥達を威嚇でいなし、一気に距離を詰める。間合いに入った瞬間力を込めて跳躍、エメリアの天使を視界に捉えつつ鳥達の羽が散らばる大地に着地する。
「―CIPがっ」一羽の鳥がそう言った時には既に手遅れだった。エメリアの天使目がけて光輪刈りから邪悪な力が放たれる。瞳に悲しみの表情を浮かべたエメリアの天使の喉元へ邪悪な力が届きそうになる刹那―別の方向から突如現れた光がエメリアの天使包みこみ、次の瞬間光輪狩りの能力はエメリアの天使を逸れ、標的を失った能力は狂ったように床を跳ね回り消滅した。
「大丈夫か!?」
突如標的を見失った能力、聞き覚えのある声、数秒前と比べて増えている鳥達。それらの要素で光輪狩りは誰の仕業かを理解した。
「これは《セジーリのステップ/Sejiri Steppe(WWK)》…《聖遺の騎士/Knight of the Reliquary(CON)》か」
言うが早いか、立ちすくむエメリアの天使の下へ一人の騎士が駆け寄った。
隣のアラーラ高校からの転校生。ゼンディカー高校に転入し、土地を操る能力でのし上がった実力派である。
「颯爽登場で王子様気取りかシンデレラボーイ!
」
「これ以上エメリアの天使を傷つけるというのなら…この僕が相手だ」
後ろを振り返り聖遺の騎士が剣を向ける。様子から察するにまだセジーリのステップを隠し持っているらしい。墓地に土地が落ちれば後々厄介になる。先程の上陸で鳥も増えている。正直分が悪い。
「仕方ねえ…ここは譲ってやる。じゃあな」
そう言って光輪はその場を後にした。力の抜けたエメリアの天使の「待ちなさい」という声は聞こえないふりをした。
「大丈夫?」聖遺の問いかけにエメリアの天使はこくんと頷いた。
「酷いなあいつ…天使を何だと思ってんだ。許せない」
「ありがとう。でも結局光輪は取り返せなかったな…あのバカ…」
その表情を見て、エメリアの天使の肩に手をかけようとした聖遺がそっと手を引くのを周りの鳥達は見て見ぬふりをした。
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ゼンディカー高校を抜け出し、スタンダード街へ繰り出す。騒がしいエメリアの天使の光輪を取り損ねた光輪は、不完全燃焼になった猛りを治めるべく新たな獲物を探していた。
気の向くままに歩きまわり、日頃ぶらぶらしているストレージ通りを抜け、ショーケースモール方面へと足を運んだ。光輪でも迂闊に手が出せない『構築クラス』の連中が屯するショーケースモールだが、光輪を狩りそびれ治まらない血が猛者の世界へと向かわせた。
曲がり角を抜けると一際高級な場所へ出た。そこにいた白い羽と長い髪の毛のに一瞬で目を奪われた。
天使だった。
それが天使と気付くやいなや、光輪は彼女へ襲いかかっていた。力一杯飛び上がり、彼女目がけて能力を発動し―
勢い良く着地したが何も起こらない。
何が起こったのか確認するよりも早く鋭い一撃が光輪狩りの胸を突いた。
―先制攻撃!?
能力を発動した勢いが手伝って豪快に地面に倒れこむ。
外見と直感で彼女が天使だということはわかった。では何故能力が発動しないのか。
薄れ行く意識の中彼女が口を開いた。
「ごめんなさい。私『プロテクション(デーモン)』なの」
続く
第一話「光輪君と悪斬ちゃん」
原案…WARAXIS
制作…ワープワールド教団、光輪君と悪斬ちゃん製作委員会
推敲も校正もしてないから誤字脱字は許してちょ
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